ヤナ漁とは?
「ヤナ漁」とは、どんな漁法なのだろうか?
清流で稚アユから立派な成魚になったアユは、8月の終わりから9月にかけて、卵を抱えて産卵のために河口を目指す習性がある。盛夏の間、流れに逆らい元気に泳ぎ回るアユ。この時期、大雨などで増水した川の水が引き始めた瞬間を利用して、一気に川を下るそうだ。その絶妙なタイミングをとらえて、川を下るいわゆる「落ちあゆ」を捕らえる漁法を「ヤナ漁」と呼ぶ。アイヌ語では、「ウライ」と呼ばれている。
川の中に足場を組み、木や竹ですのこ状の台を作った梁(やな)という構造物を設置して、水を引き込んで落ちてくるアユを、竹組みのヤナの上で捕らえるのだ。
すのこは、上流側に傾いて設置され、上流側では水中にあり、川下側では水上にある。川の水はすのこを通って流れるが、上流から泳いできた魚は、すのこの上に打ち上げられる。
そのため、水が少なければアユは落ちず、逆に多すぎても危険で人がヤナに近寄ることができなくなる。大増水ともなれば、大掛かりなヤナが一晩で破壊されてしまうこともある。
まさに、大自然を相手にした壮大な漁法なのだ。