STORY 恵南地方にまつわる50の物語

山岡町 日本一の水車

その迫力に感動! 目の前に立ちはだかる巨大なもの

山岡のシンボル・木製水車

水しぶきをあげて、ゆっくりと回転する大きな木製水車。
ただ大きいだけではない。その大きさには水没した地域の歴史や人々の思いが詰まっている。

なぜ、ここに巨大水車が造られたのか?

標高400メートルに位置する、自然あふれる道の駅「おばあちゃん市・山岡」。ここには日本一の大きさを誇る木製水車や、小里川ダムなど観光スポットが満載だ。
道の駅の、ランドマークとなっている巨大水車の直径はなんと!24メートル。遠くからでもわかる圧倒的な存在感がある。間近で水車を見上げると、更にその迫力は増してその作りにおどろかされる。ゆっくりと回転する水車、豪快に落ちる水しぶきは必見で、絶好の撮影ポイントとして人気が高まっている。
木製水車は、平成16年の春に完成。木材は、カナダ杉(レッドシーダー)で、軽く水に強く、腐りにくいのが特徴だ。

なぜ、この場所に巨大な木製水車が造られたのか?そこには深い意味があった。
この地域は、蛙目という粘土質の高い良質な陶土の採掘が盛んな町としてしられており、陶石用の砕石を製造するのに、水車が利用されていた。その後、昭和から平成にかけて建設された小里川ダムによって水没した地域に、多くの水車があったそうだ。そのため、その地域の歴史を象徴する産業遺産のシンボルとして、木製水車が造られた。
2002年8月には、「小里川ダム湖底フェスティバル2002」が開催され、ステージで地元の伝統芸能やコンサート、山岡特産の寒天デザートなどが振るまわれた。沈む前に、思いでを語り合い次なる時代に想いを馳せたそうだ。
水車の手前には、水没地域から移設された石造りのアーチ橋“興運橋(ようんばし)”通称・めがね橋と、裏手には、同じく移設された発電機が展示されている。町指定文化財になっている興運橋は、本州ではとても珍しい三連式石造アーチ橋で、この橋の材料は地元産の花崗岩を使用している。1920年代の面影がしのばれ、歴史の重みを感じる。

小里川ダムについて

水車の裏手には展望広場があり、そこから小里川ダムと、ダム建設によって出来たおりがわ湖が望める。2004年に完成した小里川ダムは、国土交通省直管の多目的ダムとして建設され、気軽にダム堤体内部を見学することが出来る。堤高114メートルの東濃で最高の高さだ。エレベーターでダムの下まで降りて、そこから間近に堤体を見上げる体験は中々出来るものではない。堤体部は、一年を通じて約15℃に保たれていてひんやりとしている。夏の時期、涼みがてら見学するのもいいだろう。

「おかえり」と迎えてくれる

日本一の木製水車が目印の、道の駅「おばあちゃん市・山岡」は、名前の通り笑顔あふれるおばあちゃん達が出迎えてくれる憩いの地として、多くの人達で賑わっている。
地元のおばあちゃん達が丹精込めて作った新鮮野菜、加工食品、雑貨など、なんと9割が手づくりの品だ。豊富な手づくり品の中でも、煮豆やお惣菜、おはぎなど午前中で売り切れてしまうほどの人気だ。
素朴な美味しさ、縁起物のお菓子「からすみ」もファンが多い。子宝の象徴とされる海の珍味・からすみを、海のないこの地方にも供えたいという思いから生み出されたそうだ。
道の駅の中には、地元の食材が味わえる食事処「みはらし茶屋」があり、名物の「おふくろの味定食」を求めて客足が絶えない。新鮮野菜をふんだんに使った優しい味わいに、癒されること間違いないだろう。
更に屋外にも店があり、岐阜名物の五平餅や寒天ソフト、地元産の米麴でつくる甘酒など豊富なグルメが味わえる。

「おばあちゃん市・山岡」は2004年にオープンした。その元祖となる店が、道の駅から車で10分ほどの場所にある「山岡のおばあちゃんの手づくりの店」だ。こちらの店も人気店で、2002年には豊かなむらづくり事業が認められて、農林水産大臣賞も受賞している。手づくりの優しさやぬくもりが受け継がれ、作り手の生きがいにも繋がっている素晴らしい取り組みだ。
その取り組みは度々メディアにも取り上げられ、おばあちゃん市の成功は全国的な注目を集めている。

道の駅を取り囲む山々の景色は、四季折々姿を変え素晴らしい。特に秋の紅葉の色合いは絶景だ。2013年に、新しいモニュメントとして登場した「幸せの鐘」の音が響き渡る中、水しぶきをあげて回転する木製水車は、今日も地域の人々を見守っているかのようだ。

INFORMATION

名称
道の駅「おばあちゃん市・山岡」
場所
岐阜県恵那市 山岡町田代1565-169
お問合せ先
0573-59-0051

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