もう一度提灯舟を
恵南地域では、青年団が残っているのは下手向のみになり、大変貴重な地区でもある。
車を舟に仕立て提灯を飾る。舟は竹で作られており、祭が終われば車から外すことができるよう工夫されている。昔は荷車に舟を載せていたそうだ。
提灯で飾られた美しい舟は、祭りの当日、白山比咩神社から出発して、下手向地内を練り歩き、花の木会館が終点となる。地区内を練り歩く時は、浴衣を着た子供や若い衆が手踊り(盆踊り)をしながら、地区の安全や平和を祈る。
下手向の若い衆は、青年団が今も存続されているだけあって、とてもエネルギッシュだ。子供たちも元気で、そんな陽気さが地区全体を包んでいる。
そんなパワーあふれる下手向の祇園祭だが、12年前に様々な事情で、一度はすたれてしまったそうだ。車を舟に仕立てた提灯舟も無くなり、地区が少し元気のない時代があった。しかし、青年団の若い衆が立ち上がり、もう一度提灯舟を復活させようと声を挙げた。そして見事復活を果たし、6年の歳月が流れ現在に至っている。
何事も辞める時は簡単だが、始める時は相当のエネルギーが必要だ。自分が生まれ育った故郷を愛する気持ちが、彼らを駆り立てたのかもしれない。