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STORY 恵南地方にまつわる50の物語

山岡町 寒天突き出し

天と山と海の恵みが舞い降りる 寒天の里

昔ながらの伝統的な製法を守る山岡の寒天屋

初霜の降りる頃、ある山里の田んぼに寒天の白いじゅうたんが広がる。
寒さという天の恵みと山の恵み、天草という海の恵みをひとつに結び、今日も凍てつく朝もやの中、細寒天を作り続ける人達がそこにいる。

良質の天草を100%原料に

山岡町は、恵那市の中西部に位置し、多くの山々に囲まれた自然豊かな里山だ。内陸性の気候であるため、冬は乾燥し朝晩の冷え込みが激しい。そのため、古くからこの冬期の気候を利用した寒天の生産が盛んである。特に細寒天の生産は日本一であり、全国シェアは8割を超える。
ところで、寒天の原料といえば「天草(てんぐさ)」で、つまり海藻だ。山岡町に海は無く、四方を深い山々に囲まれている。ではなぜ、海の無いこの町で寒天製造が盛んになったのだろうか。

細寒天の製造過程は、まず主原料である国内産の天草を水に浸し、塩や砂を除去して更に洗浄機にかける。その後、寒天液を天草から取り出すために、直径1.6m以上の大きな釜に入れて煮る。煮だした汁を、寒天液と天草のかすと分け、寒天液を型に流し込み固める。
凝固したものを羊羹状に成型し、よしずの上へ、その羊羹状に切った寒天質を天筒で突き出す。天筒からスルスルと出てきたものが、あの「ところてん」だ。突き出しと呼ばれるこの工程は、一般の人も体験することができる。
そしてここからが、なぜ寒天製造が盛んになったのかの答えが隠されている。
寒天質を干して乾燥させ、水分を抜いていく。この水分をすっかり抜いた状態が細寒天である。水分を抜く過程で必要なのが、「凍結」と「乾燥」だ。昼と夜の寒暖の差が激しく、かつ、雪や雨があまり降らない(雨や雪に含まれる汚れが寒天にしみ込んでしまう)地域が寒天づくりに適しており、まさに、山岡町の気候は寒天づくりに最適であった。

製造工程の中で、一番要になるのが、「乾燥」の工程だ。夜中の間に厳寒期にはマイナス10℃以上に下がる気温により、干した寒天質は凍結する。昼間は気温も上がり解凍される。この凍結と解凍を20日程くり返し水分を蒸発させるのだ。
この間、気温や天候を見ながら、氷柱を削った氷をかけて温度調整するなど、寒さの中付きっきりで作業をする。
その後、自然乾燥で干しあがった寒天に、汚れなどないか一枚ずつ丁寧に検品し完成する。

驚きの寒天パワー

天然自然食品である「寒天」には、人々の身体と生活を支えるための秘められたパワーが宿っているそうだ。
寒天は約80%が食物繊維で、100g中でみると、あらゆる食品の中で食物繊維を一番多く含んでいる。食物繊維には、水に溶け出す性質と水に溶けにくい性質の二種類があり、寒天はどちらの性質も備わっている。水溶性の食物繊維が体内で溶け出すと、水分はドロドロと粘りのある状態になる。この粘りのある水分が、食べ物を包み込んで小腸での消化吸収を抑えてくれる。そのため、糖分の消化速度をゆるやかにし、食後の急激な血糖値の上昇を抑えてくれるのだ。
また、脂肪の吸収を抑えたり、コレステロールの排泄を促し血中コレステロール値を減少させる働きもある。
近年、巷では健康ブームで様々な食品が話題になっているが、寒天もその一つであり、取り入れる人がこれから更に増えていくだろう。
また、腸内でも水分を含んで膨張するため便の量が増え、ビフィズス菌や乳酸菌の割合が増加して便秘を改善してくれる。ダイエットにも効果があるため、美容に関心がある女性にも寒天は人気だ。

つくり手からつくり手へ

生活習慣病予防に効果のある、寒天の驚きのパワー。その寒天を美味しく、楽しく食べてもらいたいと、様々な商品が開発されている。
明知鉄道の山岡駅に隣接する「かんてんかん」では、細寒天を使用したアイデアあふれる美味しい料理を味わうことができ、売店では寒天を加工した豊富な商品を購入することができる。館内には寒天資料館もあり、知られざる寒天の世界を存分に味わえる。

山岡の厳しい自然と向き合い、昔ながらの製法を守る、寒天屋さん。その本物の寒天を創意工夫で商品にしていく人達。一人でも多くの人に、その素晴らしさを伝えたいという思いは同じだ。

冬の風物詩である、寒天干しの風景をいつまでも残していきたい。

INFORMATION

名称
山岡駅 かんてんかん
場所
岐阜県恵那市 山岡町田沢3058番地4
お問合せ先
0573-56-3140

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