STORY 恵南地方にまつわる50の物語

岩村町 石室千体仏

ご開帳は7年に一度、金色に輝く千の仏像

石室に1,000体の仏さま

この石室(いしのかると)千体仏は1632(寛永9)年、岩村城主松平乗寿(のりなが)が地域の安奉、繁栄を祈願して建てたと伝わり、「浄土三部教」千部を地中深く埋め、(いわゆる経塚)その上に石室を設けて1,001体の仏像を安置したとされる。
ご開帳は7年に一度の特別な機会。ご開帳中は、4月下旬から5月上旬の2週間にわたり24時間拝観することができる。

狭い石室の中に金色の仏像

石室の広さは『高さと幅を半分にした押入れ程度』であるが、間口の高さはさらに低く、数十センチ程度しかない。
しかし、身を乗り出すような姿勢で覗き込むと、厳かにたたずむ阿弥陀像と、それを取り囲むようにしている仏像千体が、視界に収まらない勢いで飛び込んでくる。

像は全て木彫りであり、その上に金箔が張られ、輝いている。
千体の仏像は、最も小さなものが高さ約10センチ。これが990体。一回り大きいものが約17センチ。これらは、小さな仏像の段の中、ところどころの要の位置に10体存在する。
そして、最も大きな110センチの仏像が1体。圧倒的な存在感と細やかな造作に目を奪われる。その後、改めて小さな仏像に目を移すと、一体一体、表情が異なることに気づく。

中央の大きな仏像の手には、何やら白い紐のようなものが結ばれている。その紐は、「善の綱」と呼ばれる布で、建物の外に出てもずっと続いており、約1km離れた岩村の町並みを通り、かつては岩村城まで繋がっていたそうだ。家の軒先にも白い紐が結わえられ、期間中に申し込みをした人達の「善の綱」が結ばれ、お城に向かって伸びていく。千体仏と城下町が「善の綱」によってつながっていくのだ。

千体仏について

江戸時代に造られた石室千体仏は閉鎖空間と仏像の大きさがもたらす視覚的効果が巧みに計算され、拝観者が、山里にいながらも極楽浄土を体感できるように工夫されている。数百年の時間を経て多くのものが色あせていく中、石室に守られた千体の仏さまは、今日も変わらぬ光を放っている。

7年に一度のご開帳

石室千体仏はいつでも拝観できるものではなく、7年に1度(数え年で7年)のご開帳の際にしか見ることはできない。そんな希少さもあって、ご開帳時には多くの参拝者で賑わう。

直近のご開帳は2019年4月22日(日曜日)から5月6日(日曜日)の2週間。次回は7年後2025年(数え年で7年)。

里山の秘仏は一見の価値ありだ。

INFORMATION

名称
石室千体佛御開帳
場所
岐阜県恵那市 岩村町一色地内
お問合せ先
0573-43-3231(恵那市観光協会岩村支部)

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