狭い石室の中に金色の仏像
しかし、身を乗り出すような姿勢で覗き込むと、厳かにたたずむ阿弥陀像と、それを取り囲むようにしている仏像千体が、視界に収まらない勢いで飛び込んでくる。
像は全て木彫りであり、その上に金箔が張られ、輝いている。
千体の仏像は、最も小さなものが高さ約10センチ。これが990体。一回り大きいものが約17センチ。これらは、小さな仏像の段の中、ところどころの要の位置に10体存在する。
そして、最も大きな110センチの仏像が1体。圧倒的な存在感と細やかな造作に目を奪われる。その後、改めて小さな仏像に目を移すと、一体一体、表情が異なることに気づく。
中央の大きな仏像の手には、何やら白い紐のようなものが結ばれている。その紐は、「善の綱」と呼ばれる布で、建物の外に出てもずっと続いており、約1km離れた岩村の町並みを通り、かつては岩村城まで繋がっていたそうだ。家の軒先にも白い紐が結わえられ、期間中に申し込みをした人達の「善の綱」が結ばれ、お城に向かって伸びていく。千体仏と城下町が「善の綱」によってつながっていくのだ。