明治生まれの文豪・島崎藤村の代表作『夜明け前』作中の矢作川。効果的な水運を行うための堰が
設けられて、木曽方面の豊富な木材が三河地域へ盛んに輸送される描写があります。
矢作川水系のいくつかの川の最上流に位置する当地は林業の一大拠点であり、
『川の道』として大いに発展しました。
そんなにぎやかだった時代の勢いは、春の祭り太鼓やけんか神輿で伝えられています。
木曽山系の南部に位置する恵那山、その更に南端となる上矢作。自然に恵まれ清流上村川が流れ、その上流の達原(たっぱら)渓谷は、川と木々が織りなす情景の代表格といえます。
また、達原大平地域には、戦国時代に武田信玄が薬として持ち込んだと言い伝えられている福寿草が、2月下旬から4月上旬にかけて群生しています。
町のシンボルである大船山は、町の東北東に位置し、山頂付近の大船神社や境内の横には樹齢2500年以上と言われる弁慶杉がそびえ立っています。
神社本殿の三態の唐獅子や鳳凰、牡丹などは1856年棟梁、諏訪の立川流三代目和四郎富重の弟富種によって再造営がなされました。
神社までの参道は町から約4kmあり、岩村城のお殿様が参拝の日除けとして植えられた松並木が今に残るなど、自然や文化的遺産の宝庫となっています。