STORY 恵南地方にまつわる50の物語

上矢作町 やな漁

水しぶきと跳ねるアユに驚嘆!

今も伝わる歴史ある漁法

美しき日本、矢作川上流に、「いにしえの漁法」を伝える人達がいる。
清流とそこに育つアユ、人の知恵から作られた竹組みの梁で漁をする様は、まるで一枚の浮世絵を見ているようだ。
ここを訪れた人々は、情緒を楽しむ心のゆとりを思い出し、また帰っていく。

ヤナ漁とは?

矢作川は、長野県、岐阜県及び愛知県を流れ、三河湾に注ぐ河川である。その矢作川上流の上村川沿いに、期間限定で営業する「ヤナ」が人気だ。

「ヤナ漁」とは、どんな漁法なのだろうか?
清流で稚アユから立派な成魚になったアユは、8月の終わりから9月にかけて、卵を抱えて産卵のために河口を目指す習性がある。盛夏の間、流れに逆らい元気に泳ぎ回るアユ。この時期、大雨などで増水した川の水が引き始めた瞬間を利用して、一気に川を下るそうだ。その絶妙なタイミングをとらえて、川を下るいわゆる「落ちあゆ」を捕らえる漁法を「ヤナ漁」と呼ぶ。アイヌ語では、「ウライ」と呼ばれている。

川の中に足場を組み、木や竹ですのこ状の台を作った梁(やな)という構造物を設置して、水を引き込んで落ちてくるアユを、竹組みのヤナの上で捕らえるのだ。
すのこは、上流側に傾いて設置され、上流側では水中にあり、川下側では水上にある。川の水はすのこを通って流れるが、上流から泳いできた魚は、すのこの上に打ち上げられる。
そのため、水が少なければアユは落ちず、逆に多すぎても危険で人がヤナに近寄ることができなくなる。大増水ともなれば、大掛かりなヤナが一晩で破壊されてしまうこともある。
まさに、大自然を相手にした壮大な漁法なのだ。

上村川の澄ヶ瀬ヤナ場

この伝統的なヤナ漁は、日本全国で盛んに行われている。それほど、日本には美しい清流が残っているということだ。
上矢作町にある上村川の「澄ヶ瀬ヤナ」もその一つである。上村川は、矢作川の上流部にあたり32年前、地元住民の有志が澄ヶ瀬ヤナを復活させた。美しい自然の中での川遊び、新鮮で美味しいアユの塩焼き。食事代も手頃で穴場的な存在だ。

特に、昔ながらの焼き方にこだわったアユの塩焼きは絶品で、評判を集めている。直径1メートル余りの炉で薪を燃やし、強火の遠火で1時間近くかけてじっくりと焼き上げる。立て串で腹、背中と順に焼いていくと、余計な油や水分が付け落ち上等な塩焼きになるという。
薪の炎を見つめながら、こんがりと焼き目の付いたアユをかぶりつく贅沢なひと時。頭から尻尾まで丸かじりできる柔らかさだ。子ども達は初めての体験に驚き、その美味しさに感動する。
他にも、クルミ、砂糖などで調味した絶妙な秘伝のたれが自慢の五平餅や、地元の刺身コンニャクも美味しい。更に、アユのフルコース料理も堪能できる。

最高の思い出に

ヤナの上流の浅瀬は、底まで澄みきった清流である。川底は砂地なので、素足でも入れるため、子ども達は水遊びに夢中だ。キラキラ光る水辺を眺めながら、大人も自分の幼い頃の思い出に浸る。
シーズンになると、町内行事や同窓会などのグループ、都会から涼を求めてたくさんの人で賑わう。大自然の中で、開放感を味わい日頃の疲れも吹き飛ぶようだ。特に夏休みに訪れた家族連れには、忘れられない最高の思い出となるだろう。

心癒される澄ヶ瀬ヤナは、今なお訪れる人々を魅了している。この大自然と美しい清流をいつまでも変わらない「心のふるさと」として残してほしいと願っている。

INFORMATION

名称
澄ヶ瀬やな
場所
岐阜県恵那市 上矢作町下774-1
お問合せ先
0573-48-3287

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