STORY 恵南地方にまつわる50の物語

明智町 明智ぎおん祭

ノスタルジックな風情溢れる 提灯のトンネル

町民みんなで盛り上げる夏祭り

夏の夜、提灯にひとつ、またひとつと灯りがともる。
久しぶりに帰省したこの地で育ったある若者は、幼い頃のワクワクした気持ちを思い出す。
素朴で優しく、賑やかで楽しい祭は、全ての人の“ふるさと”になるだろう。

大正村夏の夜の風物詩

明智の夏の風物詩である「明智ぎおん祭」は、毎年7月に開催される。
約150本の笹竹に取り付けられた赤提灯が、町の中に風情豊かに灯り、大正村は幻想的な雰囲気に包まれる。まるで提灯のトンネルのようなその光景は、幻想的な世界に入り込んだようだ。

祇園祭(天王祭とも呼ぶ)は、津島神社の祭りで、徳間の天という提灯の文字は天王祭から来ているそうだ。ご祭神は、建速素戔鳴尊(タケハヤスサノオノミコト)と大己牟遅命(オオナムチノミコト)。この神様は、スサノオノミコトの6世の孫になる。
明智の津島神社は、安永8年(1779年)に創建された。さて、ご祭神の建速素戔鳴尊通称スサノオノミコトであるが、元来荒ぶる性格であったが、その強い性格が逆に災いを祓ってくれる強く頼もしい神として疫病封じの神様として信仰されている。
夏のこの時期、食中毒や赤痢などの伝染病から人々を守る神様。全国の祇園祭が夏に行われるのには、このような理由がある。

ぎおん祭の目玉といえば、名物の「ねぎま」が人気で、例年各店で1000本を完売するそうだ。新町、ときわ、駅前、本町通りの各発展会が工夫を凝らしたイベントを行い、多くの露店も出て賑わいをみせる。「ねぎま」は、ねぎと豚肉の串焼きで、各店の秘伝のたれで味付けされ大人気である。
所どころに地元の子供達が作成した、手作りの行灯が置かれている。「あんどんコンクール」も開催され、色彩豊かなイラストが行灯に描かれていて、見ながら歩くのも楽しい。

祇園祭とは

祇園祭といえば、京都。日本の三大祭のひとつにも数えられ、京都に住む人にとって夏の風物詩となっている。
京都で毎年7月に行われる祇園・八坂神社の祭礼で、明治までは祇園御霊会(ごりょうえ)と呼ばれた。平安時代から約1100年も続いているから驚きだ。貞観11年(869年)に、京の都をはじめ日本各地に疫病が流行した。そのため広大な庭園になっていた神泉苑に、当時の国の数にちなんで66本の鉾を立てて、スサノオノミコトを迎えて災厄がなくなるように、祈ったのが始まりとされている。
祇園祭は、7月1日の「吉符入」に始まり、31日の境内摂社「疫神社夏越祭」で幕を閉じるまで、各種の神事・行事が繰り広げられる。

○○祇園祭と呼ばれる祭は、日本全国いたる所にあり不思議に思うだろう。
神仏混在の牛頭天皇を信仰する祇園信仰は、江戸時代まで続いたそうだ。室町時代には、京の祇園祭の山鉾巡業は今の祭の形がほぼ出来上がっていた。
そして、国が豊かになり、どんどん絢爛豪華になっていった山鉾の祭は、地方から都を訪れた人を感嘆させたそうだ。その華やかさ、活気にあやかり郷土の里の祭に取り入れ全国に広がり、そのいくつかのものは、その地名をつけて○○祇園祭と呼ばれるようになった。

このような、長い歴史をもつ祇園祭。明智で開催されるぎおん祭は、その流れを受け継ぎ誰の心も懐かしさで包み込んでくれる大切な祭りである。

INFORMATION

名称
明智ぎおん祭
場所
岐阜県恵那市 明智町
お問合せ先
0573-54-2111(恵那市観光協会明智支部)

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